糖尿病とは
糖尿病とは、インスリンというホルモンの不足や作用低下が原因で、血糖値の上昇を抑える働き(耐糖能)が低下してしまうため、高血糖が慢性的に続き、網膜症・腎症・神経障害の三大合併症を伴う可能性がある病気です。
糖尿病で大切なのはまず検査
生活習慣が原因となって起こる2型糖尿病は、ゆっくりと進行するため発症しても最初は自覚症状がないことが多いです。そのため長期間気付くことがなく、分かったころには進行していた…なんていうことも少なくありません。ですので、病院で行う検査が糖尿病の発見には非常に重要となります。
また、会社の健康診断で血糖値の検査が項目に入っていることがあるので、数値が気になるという方は、合間を縫ってでも一度病院で糖尿病の検査をすることをおすすめします。
検査項目と方法について
一般的には血液検査で診断をします。検査で行われるのは血糖値の測定とHbA1cの2つです。
血糖値は、血液中に糖がどの程度含まれているかを示すもので、その場ですぐ値が分かる検査キットもありますし、血液検査で調べることできます。
HbA1cは長期間(約2ヶ月)の血糖値の平均を示すものです。
そのほか、ブドウ糖負荷試験(OGTT)という検査もあります。
ブドウ糖負荷試験(OGTT)はブドウ糖が含まれる飲料を飲む前後に血糖値を測り、どの程度変化があるかを調べる検査です。
ブドウ糖飲料を飲んだ後の血糖値測定は1回だけでなく、30分おきに何度も測ります。そして糖尿病の診断には、服用してから2時間後の値を使用します。
糖尿病の診断基準
①:検査を2回行い、以下の糖尿病型に2回とも該当する場合(その内1回はHbA1cではなく血糖値が該当する)
【糖尿病型(HbA1cと血糖値の2種類の検査項目があります)】
[HbA1c]6.5%以上
[血糖値]空腹時の血糖値が126mg/dl以上
[血糖値]随時200mg/dl以上
[血糖値]ブドウ糖負荷試験(OGTT)の2時間値が200mg/dl以上
※ OGTTはブドウ糖を服用して血糖値を測定するので血糖値の分類に入ります。
※ 2回ともHbA1cのみが該当する場合は糖尿病とは診断されません。
※ 1回の検査でHbA1c、血糖値のどちらも該当した場合は、その時点で糖尿病と診断されます。
②:上記①の[血糖値]の値が糖尿病型に該当する+慢性高血糖の症状がある
1回の検査で、血糖値の値が糖尿病型(上記①の項目参照)に該当していて、慢性高血糖の症状があれば糖尿病と診断されます。
慢性高血糖の症状とは、口の中がやたらと渇く、喉が渇いて水を異常に飲みすぎてしまう、尿回数や尿量が多い、体重が減るなどの症状を指します。
また、このような症状はなくても、糖尿病の合併症である網膜症という目の病気が発見されれば、糖尿病と診断されます。
③:検査時に診断基準未満だとしても、過去に糖尿病と診断されたことがある
検査で診断基準を満たさなくても過去に糖尿病と診断されたことがあれば、糖尿病と診断されます。
治療
糖尿病の治療はおもに食事療法と運動療法があります。薬物治療は補助的な役割を担っています。薬が処方された後も、食事療法と運動療法は継続する必要があり、またそれにより薬の更なる作用が期待できます。 薬の種類には、インスリン注射のほかに、経口血糖降下薬やインスリンの分泌を促進させる薬があります。
甲状腺疾患
甲状腺疾患とは、甲状腺の異常や障害によって引き起こされる症状の総称です。甲状腺疾患には、甲状腺ホルモンの分泌過剰による甲状腺機能亢進症や、分泌不全による甲状腺機能低下症、急性・慢性甲状腺炎、単純性甲状腺腫、甲状腺がんなどがあります。甲状腺ホルモンの異常による病気は、全身に様々な症状が現れ、どこが悪いのか判らず「いつも調子が悪い状態」になります。そして、気のせいと思ってしまったり、怠け者と誤解されている人も少なくありません。
甲状腺疾患の原因
甲状腺の病気は、①ホルモンの合成・分泌が過剰になる機能亢進症と、②ホルモンの合成・分泌が低下する機能低下症によって症状が異なります。
①甲状腺機能亢進症(ホルモンの合成・分泌が過剰)の症状
甲状腺ホルモンは新陳代謝をつかさどるホルモンなので、これが過剰になると全身の代謝が異常に高まり、身体の各部位にさまざまな症状が現れます。
※代表的な甲状腺の病気:バセドウ病
症状があらわる場所
首 | 甲状腺に腫れ(とくに痛みがない、大きさには個人差あり) |
---|---|
心臓 | 動悸・脈のはやまり(胸のドキドキ)、脈の乱れ |
全身 | 新陳代謝が盛んなためにおこる暑がり・多汗(これにより喉がかわく)、微熱 |
手足 | ふるえ、筋力低下(エネルギー変換が激しいため) |
胃腸 | 消化管が活発なことによる下痢、過食(すぐにエネルギーに変えるので体重は減少することが多いが、まれに食べすぎて増加する人もいる) 目 |
目 | 眼球の飛び出し、目つきが鋭くなる、まぶたの腫れ、ものが二重にみえる |
精神 | 気持ちが高ぶることによるイライラや落ちつかない状態、疲れやすさからくる集中力の低下 |
生理 | 月経不順・無月経 |
②甲状腺機能低下症(ホルモンの合成・分泌が低下)の症状
甲状腺ホルモンは新陳代謝をつかさどるホルモンですので、これが低下すると全身の代謝が異常に低下し、身体の各部位にさまざまな症状が現れます。
※代表的な甲状腺の病気:橋本病
症状があらわる場所
脳 | 物忘れ、言語障害 |
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全身 | むくみ、寒がり |
皮膚 | 乾燥 |
胃腸 | 食欲不振、便秘 |
精神 | 無気力、眠気 |
整理 | 月経不順・無月経 |
甲状腺の病気の特徴
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病気の種類 | はたらきの異常 | 形の異常 |
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バセドウ病 | ホルモンの合成・分泌過剰 | 全体的なはれ、まぶたのはれ、眼球に異常 |
橋本病 | ホルモンの合成・分泌低下 | 全体的なはれ全体的なはれ、まぶたのはれ、眼球に異常 |
腫瘍性疾患 | ホルモン合成にはほとんど異常なし | 甲状腺に腫瘍、液がたまることもある |
単純性びまん性甲状腺腫 | ホルモン合成にはほとんど異常なし | 全体的なはれ |
亜急性甲状腺炎 | 一時的な炎症、ホルモンのもれ | 炎症部位のはれ(痛み) |
治療
内服薬(抗甲状腺薬)による治療、アイソトープ(放射性ヨウ素)治療、手術の3つの方法があります。 まずは内服薬の治療を開始することが多く、その後、病状、年齢、社会的状況などよっては他の治療も検討します。