2022/11/14
【往診の先生の頭の中は何を考えているの?】
ゆたかクリニックは訪問診療を行なっています。
今回は在宅患者さんの状態変化の連絡をうけた時医師が「どのように方針を考えているのか」お伝えしたいと思います。
〈在宅医師が今後の方針を考える際の指針イロイロ〉
□患者さんの状態と治療法
□本人の解釈・希望
□家族・介護者の傾向
□療養先の特性
□他職種からの情報
□周囲の医療資源の特性
□その他
〈患者さんの状態と治療法〉
医師は状況把握および診断、その治療法を考えると同時に「重症度」「緊急度」の判断をしています。医師の診断が大きく左右するため、非常に大切な項目です。
これは外来診療でも同じですが、在宅医療では実施可能な検査が限られ、急性疾患の診断はより難しいと言われています。そのため、時には不確かな診断で治療を始めなければいけないこともあります。一方、家族や介護者からの情報が得やすい、療養環境を直接見ることができる。普段と変化がわかりやすいなどの在宅医療の利点もあります。
〈本人の解釈・希望〉
本人の意見なしに、方針を決めることはできません。本人の心からの希望に耳を傾けることが大切です。身体に起こっている病態・疾患だけでなく、本人が病状をどのように解釈しているかや、実際に感じている苦痛や困りごと、心配ごとも方針決定に必要です。また、どの程度意思決定にかかわりたいかも含め、治療方針への希望や、したいこと・したくないこと、どのように過ごしたいかなども方針決定に不可欠です。そういった本心に医療者が耳を傾けることで、本人が必要としている情報が提供でき、本人意思決定の援助につながります。
〈家族・介護者の意向〉
在宅医療では、患者さんが生活を送るために家族や介護の支援を受けていることが多いため、その意向をふまえて方針を考えることが欠かせません。実際に介護をしている同居家族ではなく、遠方の家族の意見が大きく影響することもあるため注意が必要です。また一見腑に落ちない意向でも、何十年というかかわりのなかで醸成された患者さんと家族との関係が影響していることがあり、そういった家族の歴史への配慮も大切にしています。
〈療養先の特性〉
療養先には、自宅なのか施設なのかといった場所の違いや、介護力の違いがありあます。在宅医療は「生活」が成り立つことが前提条件であり、療養先の特性を考えることは大切です。
〈他職種からの情報〉
在宅医療では多くの場合、患者さんを中心として医師・看護師・歯科医師・介護士・薬剤師・福祉士など複数の職種がかかわっています。そうしたかかわる方々それぞれの得意分野を活かした豊かな視点での情報・意見を交えることで、患者さん本人の生活や希望により即した方針をたてることができます。
〈周囲の医療資源の特性〉
検査受診や緊急受診の対応可能な病院、各種訪問サービス、相談したいしかるべき専門診療科の有無など、周囲の医療資源によって方針が異なります。そのため、方針を考えるときに医療資源の特性を考えています。
〈その他〉
決めた方針が「実行可能かどうか」も考えています。いろいろな要素を考え、理想的な方針を考えても、実際に実行可能でなければ意味がありません。
ほかにも、患者や家族の「経済状況」「信仰」について考えることもあります。
ゆたかクリニックは患者さんからの訪問診療の依頼も受け付けています。
訪問診療で悩まれている方はお気軽にご相談ください。