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「変形性膝関節症の治療を考える前に知っておきたいこと」

2023/02/20

変形性膝関節症

 

変形性膝関節症ってどんな病気?

 

変形性膝関節症は、関節軟骨の磨耗や破壊が進行し、骨同士が直接接触することで生じる関節疾患の一つで、膝関節において最もよく見られる疾患の一つです。軟骨は、骨と骨の接点である関節面を覆っており、クッションの役割を果たしています。しかし、加齢や過度の負荷などによって軟骨は徐々に劣化し、磨耗や破壊が生じることがあります。この状態が進行すると、膝関節が変形し、歩行や日常生活に支障をきたすことがあります。

変形性膝関節症の主な症状は、膝関節の痛み、こわばり、腫れ、走行時の痛み、階段の昇り降りや長時間の立ち上がり時に痛みが生じることが挙げられます。また、関節が変形することで、脚の曲がり具合が変わり、歩行時に不自然な歩き方をすることがあります。

 

変形性膝関節症になる確率

 

日本人が変形性膝関節症になる確率は、年齢や性別、遺伝的要因、生活習慣などによって異なりますが、一般的には高齢者に多く見られます。日本整形外科学会の調査によると、日本人の50歳以上の人口における変形性膝関節症の発症率は、男性が16.2%、女性が26.5%と報告されています。また、日本人の中でも特に膝関節に対する負荷が大きい農村地帯や漁村地帯などでは、発症率が高い傾向にあります。生活習慣の改善や適切な運動、定期的な健康診断などにより、変形性膝関節症の発症リスクを減らすことができます。

 

膝が痛くなるとどうなるの?

 

膝が痛くなると、以下のような問題が起こる可能性があります。

  1. 日常生活の制限:膝が痛いと歩く、階段を上り下りする、立ち上がる、座るなど、日常生活での動作に制限が生じることがあります。
  2. 運動やスポーツの制限:膝が痛いと、運動やスポーツをすることが難しくなるため、健康的な生活を送ることができなくなる場合があります。
  3. 仕事への影響:膝が痛くなると、立ち仕事や重いものを運ぶ仕事など、身体的な負担が大きい仕事に影響を与えることがあります。また、膝が痛いと集中力が低下するため、仕事の生産性が下がる可能性もあります。
  4. 精神的な影響:膝が痛くなると、常に痛みがあるためストレスが増え、睡眠不足になることがあります。長期間続くと、うつ病や不安障害などの精神的な.    問題が生じる可能性もあります。
  5. 姿勢の悪化:膝が痛くなると、身体のバランスを保つために、姿勢が悪くなることがあります。これにより、腰や背中、首など他の部位への負担が増え、慢性的な痛みを引き起こすことがあります。

以上のように、膝が痛いと、日常生活や仕事、スポーツ、精神的な健康など、多くの面で生活に影響を与えることがあります。そのため、膝の痛みがある場合には、早期の治療を受けることが大切です。

 

治療方法

 

変形性膝関節症の治療方法は、症状の程度によって異なります。軽度の場合は、自己管理や軽度な治療で症状を緩和することができますが、進行が進むと手術が必要になる場合もあります。

以下に変形性膝関節症の治療方法をいくつか挙げます。

非薬物療法

  • 物理療法:温熱療法、電気療法、超音波療法などを用いて、筋肉をほぐし、炎症を軽減することができます。
  • 矯正具の使用:膝関節を安定化するために、膝ブレースやサポーターを使用することができます。

 

薬物療法

  • 鎮痛剤:痛みを緩和するために、鎮痛剤や抗炎症薬を使用することがあります。
  • 関節内注射:ステロイドやヒアルロン酸の注射を行うことで、痛みや炎症を軽減することができます。

 

外科的治療

  • 関節鏡手術:軽度の変形性膝関節症の場合、関節鏡を用いて手術を行うことができます。関節内の摩擦を軽減するため、変形した軟骨や骨棘を取り除くことができます。
  • 関節置換術:関節の摩耗が進んでいる場合、人工関節を用いて膝関節を置換する手術が行われることがあります。

変形性膝関節症の治療方法は、症状や進行度に合わせて医師と相談しながら決めることが大切です。

 

再生医療ってなに?

 

変形性膝関節症の治療において、最近注目を集めているのが再生医療です。再生医療は、自己由来の幹細胞や血小板濃縮液を用いて、損傷した組織や細胞を修復する治療法です。

 

変形性膝関節症において、再生医療に用いられる代表的な治療法には以下のものがあります。

 

脂肪由来幹細胞治療

患者自身の脂肪組織から取り出した幹細胞を膝関節に注射することで、関節の炎症や損傷した軟骨を修復することができます。脂肪由来幹細胞は、抗炎症作用や分化促進作用があり、膝関節痛の改善や関節可動域の増加が期待されています。

PRP療法(多血小板血漿)療法

患者自身の血液から血小板を取り出し、濃縮した液体を膝関節に注射することで、損傷した軟骨や組織を修復することができます。血小板には、成長因子が含まれており、組織再生や修復を促進する効果が期待されています。

骨髄由来幹細胞治療

患者自身の骨髄から取り出した幹細胞を膝関節に注射することで、膝関節の炎症や損傷した軟骨を修復することができます。骨髄由来幹細胞には、多能性があり、再生医療において幅広く利用されています。

 

 

ゆたかクリニックはPRP療法を採用しています。

 

 

予防方法

 

  1. 適切な体重の維持:過剰な体重が膝への負担を増加させるため、適正な体重を維持することが大切です
  2. 適切な運動:適度な運動は筋力を増やし、膝の負担を軽減するために役立ちます。ウォーキングやサイクリング、水泳などの軽い運動がお勧めです。
  3. 筋力トレーニング:太ももやふくらはぎなどの筋肉を鍛えることで、膝への負担を軽減することができます。筋力トレーニングは、フィットネスジムで行うことができるほか、自宅でも簡単なトレーニングを行うことができます。
  4. 正しい姿勢:長時間の立ち仕事や座り仕事をする場合には、正しい姿勢を保つことが大切です。膝に余分な負担がかからないよう、椅子の高さやデスクの高さを調整することも重要です。
  5. 適切な靴の使用:靴のクッション性が不足している場合、膝への衝撃が増加し、関節への負担が大きくなることがあります。歩行用のシューズや運動用のシューズを選ぶ際には、クッション性があるものを選ぶようにしましょう。
  6. 転倒予防:高齢者にとっては、転倒による骨折などが変形性膝関節症を引き起こす原因になることがあります。転倒を予防するためには、適切な靴を履いたり、家の中に手すりを設置するなど、注意する必要があります。
  7. 怪我の予防:スポーツや運動をする際には、怪我をしないように注意することが大切です。怪我をすると、膝に負担がかかり、変形性膝関節症を引き起こす可能性があります。

 

以上のように、変形性膝関節症を予防するには、適切な体重の維持や運動、筋力トレーニング、正しい姿勢、適切な靴の使用、転倒予防、怪我の予防などが重要です。