2023/10/20
悪心・嘔吐が続くなら要注意!病気を疑う症状
嘔吐とは、胃の中のものを口から吐き出すこと。吐き気は、吐きたい、嘔吐するかもというムカムカした感覚で、医療用語では悪心(おしん)と言います。 悪心は、吐き気だけの時もあれば、実際に嘔吐することもあります。過度のストレスや消化器の不調、他の臓器の疾患などによって起こります。
嘔吐は、乗り物酔いなど平衡神経が刺激された場合にも起こりますが、食中毒や脳の血管障害など、すぐに受診が必要な場合もあります。 また、通常の嘔吐でも、嘔吐の頻度が高いと、水分補給ができず脱水を起こすことがあります。
悪心や嘔吐が続いたり、繰り返したりする場合は、すぐに受診してください。
緊急性が高い危険な悪心(吐き気)・嘔吐
- 吐いてしまうため、十分に水分補給ができない
- 激しい腹痛を伴う嘔吐
- 吐いたものに血が混じっていた
めまいやふらつき、麻痺があらわれている早期受診が必要な悪心(吐き気)・嘔吐
- 悪心(吐き気)や嘔吐が長時間続いている
- 嘔吐とともに下痢があり、熱も出ている
- 一旦は落ち着いても、すぐに悪心や嘔吐を繰り返してしまう
しばらく様子をみても大丈夫な悪心(吐き気)・嘔吐
- 食べ過ぎや飲み過ぎなど、原因がはっきりしている悪心や嘔吐
- 安静にしていたら、すぐによくなって、その後は悪心・嘔吐がない
ただし、原因がわかっていても、よく悪心・嘔吐が起こる場合は、何らかの疾患が原因となっている可能性もあります。
悪心(吐き気)・嘔吐の症状を起こす疾患
急性胃腸炎
急性胃腸炎とは、胃や腸の粘膜に炎症が起こり、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛などの症状が現れる疾患です。
原因
急性胃腸炎の原因は、主に以下の3つです。
- 感染性胃腸炎:細菌やウイルス、寄生虫などの感染によって起こる胃腸炎です。ノロウイルス、ロタウイルス、カンピロバクター菌、サルモネラ菌、アデノウイルスなどが代表的な原因となります。
- 非感染性胃腸炎:食中毒以外の原因によって起こる胃腸炎です。食あたり、過敏性腸症候群、薬剤性胃腸炎などが代表的な原因となります。
- その他の原因:ストレスや過労、飲酒、喫煙、薬の副作用などが原因で起こる胃腸炎です。
腸閉塞
腸閉塞とは、腸管の内容物が通過できなくなる状態のことです。腸管の内容物が通過できなくなると、腸管内にガスや液体が溜まり、腹部膨満や嘔吐、腹痛などの症状が現れます。重症化すると、腸管が壊死して穿孔(腸管の穴が開くこと)を起こし、生命に危険が及ぶこともあります。
急性虫垂炎
急性虫垂炎とは、虫垂が炎症を起こす疾患です。虫垂は、大腸の入り口に付属する細長い管状の器官で、腸内細菌の繁殖を抑える役割をしています。
急性虫垂炎の主な症状は、以下のとおりです。
- 腹痛:最初はみぞおちやおへそ周辺に痛みが現れ、次第に右下腹部に痛みが移動する
- 発熱:37.5℃~38℃程度の発熱
- 嘔吐:吐き気や嘔吐がみられる
- 食欲不振
急性胆嚢炎・胆石
胆管などが詰まったり、胆嚢自身が炎症を起こしたりした場合、右上腹部が痛み、発熱とともに、悪心(吐き気)があらわれたり嘔吐したりすることがあります。
狭心症・脳卒中・緑内障発作など
悪心や嘔吐は、狭心症や心筋梗塞などの心血管障害、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害、脳炎や髄膜炎などの脳疾患、急性緑内障発作など、さまざまな疾患で起こることがあります。
心血管障害では、胸痛や息切れなどの症状も伴います。脳血管障害では、頭痛やめまい、麻痺などの症状も伴います。急性緑内障発作では、眼痛や視力障害などの症状も伴います。
悪心や嘔吐が急に起こった場合は、これらの疾患のいずれかの可能性があります。すぐに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが大切です。
まとめ
悪心や嘔吐は、原因によって、疾患の心配がないものから、緊急性の高いものまでさまざまです。
一過性のもので、疾患の心配がないものとしては、暴飲暴食、妊娠による悪阻などがあります。
疾患の心配が考えられる原因としては、体内に悪いものが入ること(食中毒、薬の副作用など)、体内で悪いものが産生されること(感染症、自律神経失調症など)、延髄の嘔吐中枢が物理的に刺激されること(脳腫瘍、脳梗塞など)などがあります。
悪心(吐き気)や嘔吐が続いたり、繰り返しているような状況があれば、いつでもご相談ください。