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便秘薬はクセになる?種類や効果、注意点について解説

2023/09/29

便秘薬はクセになる?種類や効果、注意点について解説

 

 

日本人の78人に1人は便秘だと言われており、特に女性で悩まされている方が多い疾患です。また、加齢とともに大腸の動き(蠕動運動)が低下したり、いきむ力(腹圧)が弱くなることで高齢者の便秘の有病率が高いと言われています。

 

便秘薬は最近は薬局でも簡単に手に入れることが可能ですが、なかには”クセになる便秘薬”、長期使用で”効きにくくなる便秘薬”があります。今回は便秘薬について、詳しく解説したいと思います。

 

便秘の原因と頻度

便秘の原因は、生活習慣の乱れや食生活の偏り、病気が隠れている場合など、さまざまです。便秘の頻度としては、1週間に3回以下で排便がある場合を便秘と定義されています。

 

便秘薬の種類

便秘薬には、大きく分けて2つの種類があります。

 

塩類下剤

腸内で水分を吸収させ、便を膨大・軟化することにより腸の動き(蠕動運動)を亢進し排便を促します。便が硬い方に処方されます。

 

刺激性下剤

腸を刺激して腸の動き(蠕動運動)を活発にし、排便を促します。効きすぎて刺激が強いとお腹が痛くなることがあります。便は柔らかいけれど、何日も排便がないという方に処方されます。

 

 

便秘薬はクセになる?

 

結論から言うと、刺激性下剤は長期間、連用することで依存性(やめにくくなる)と耐用性(効きにくくなる)が出現します。その結果、腸の動き(蠕動運動)が低下し、難治性便秘になる危険性も指摘されています。

具体的には、刺激性下剤を毎日使用していると、腸が刺激に慣れてしまい、刺激がないと便が排出されにくくなるのです。そのため、刺激性下剤は、排便がない時だけ、必要に合わせてレスキュー薬(頓服)として使用することが推奨されるお薬です。

 

クセになりにくい便秘薬

塩類下剤は、刺激性下剤に比べてクセになりにくいと言われています。ただし、長期服用で体内のマグネシウムの量が過剰になる可能性が稀にありますので、長期服用の際は、定期的に血液検査をしておくと安心です。

 

また、最近は慢性の便秘症に対して新しいお薬(アミティーザ®、グーフィス®、モビコール®)も処方することができますので、副作用の少ない自分に合った薬を探しましょう。

 

アミティーザ®

小腸の粘膜を活性化し、腸の中へ水分分泌を促し便を柔らかくします。

モビコール®

粉薬を水に溶かして服用し、浸透圧の差を利用して便に水を含ませて膨らませる薬です。便が膨らみ容積が大きくなることで、大腸を刺激し、腸の動き(蠕動運動)が活発化されます。2歳以上の小児にも適応があります。

グーフィス®

胆汁という消化酵素の量を調整し、”便を柔らかくする”働きと”腸の動き(蠕動運動)を亢進する”という2つの作用を併せ持つお薬です。

 

便秘薬の注意点

便秘薬を服用する際には、以下の点に注意が必要です。

 

用法用量を守る

便秘薬は、用法用量を守って正しく服用することが大切です。用法用量を守らないと、副作用のリスクが高まります。

 

便秘の原因を探る

便秘には、生活習慣や食生活の乱れ、病気など、さまざまな原因があります。便秘が続く場合は、便秘の原因を探り、生活習慣の改善や病気の治療など、根本的な対策を行うことが大切です。

 

便秘解消のための生活習慣の改善

便秘を解消するためには、生活習慣の改善も大切です。以下のようなことを心がけてみましょう。

 

十分な水分補給をする

水分不足は便を硬くして排便を困難にします。11.21.5リットルの水分を摂取するようにしましょう。

 

食物繊維を多く摂る

食物繊維は便の量を増やし、腸の動き(蠕動運動)を活発にします。野菜や果物、きのこ類、海藻類などを積極的に摂取しましょう。

 

規則正しい生活を送る

朝食をしっかり食べて、毎日決まった時間に起きて、決まった時間に排便するように心がけましょう。

 

適度な運動をする

運動は腸の動き(蠕動運動)を活発にします。毎日30分程度のウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を心がけましょう。

 

便秘は、毎日の生活習慣を見直すことで、改善できる可能性が高い疾患です。便秘に悩んでいる方は、ぜひこれらのポイントを参考に、便秘の解消を目指してみてください。

 

 まとめ

便秘薬は、適切に使用すれば便秘を改善する効果的な薬です。しかし、長期連用や用法用量を守らないなどの誤った使用は、副作用のリスクを高めるだけでなく、便秘を悪化させる可能性もあります。

 

便秘薬を使用する際には、必ず医師や薬剤師に相談し、正しく使用するようにしましょう。

 

 

(参考:便通異常症 診療ガイドライン 2023 日本消化器学会)